IVUS における計測の仕方です。
計測するだけなら誰でもできます。問題なのは正確さです。
IVUS 画像は真円を探す
IVUSの原理上、冠動脈という曲がった血管では、常に血管壁に対して垂直に計測できることはありません。
極端な例ですが、上記のgifのように、IVUS のトランスデューサと血管壁が垂直になる部分以外は、径が長めに評価されています。
そこで画像上、血管が真円になる部分で測定することが重要となります。
このGifは蛇行血管に典型的な Accordion現象 が起こっている際の IVUS 画像ですが、これをみると血管を正確に測ることが不可能だとわかります。
IVUS 計測方法(血管径、内径)
真円で測るべき場所を見つけたらやっと計測方法です。
IVUS では内膜や外膜は正確に判別できない
覚えておくべき部分は、内膜や外膜は判別できない。という点です。
解像度的問題
これは、OFDIで正常に近い血管のフレームですが、計測してみると内膜の厚みが0.04mmです。IVUSの分解能(0.1mm程度)からして、内膜、外膜が判別し難いと理解できると思います。
解剖学的問題
内膜
内膜と中膜を隔てるようにエラスチンと膠原細繊維の薄い波状層が存在しています。
これを IEM または、IEL と呼びます。
この IEM は、内膜と併合されています。そのためどこまでが内膜か IEM かは読みとれません。
外膜
同様に中膜と外膜を隔てるように弾性組織からなる薄層が存在しています。
これを EEM または、EEL と呼びます。
この EEM は、外膜と併合されています。そのためどこまでが外膜か EEM かは読み取れません。
中膜の見え方
中膜は黒い部分です。
この黒い部分が平滑筋で、外縁(赤矢印の先あたり)を EEM と呼び、計測の要となります。
外径(血管径)
血管径は、EEM を測ります。
前述の通り、外膜が読み取れないので EEM の外縁部を計測することで、血管径として認識していることが多いです。
内径(内腔径)
内径は、血流と内膜(高輝度帯)との境界と境界を計測します。
下図のように内膜が明確でない場合、血流との境界に見える場所から計測(黄色矢印)します。
実際に血管径、内径を測るとこのようになります。
境界を見極め、円の一番短い部分、長い部分の各2本(計4本)を測ることになります。
IVUS 計測方法(面積)
上記の計測場所をなぞるように面積を計測します。
血管断面積
EEM を血管径と近似する事が多いので、EEMをなぞります。
内腔断面積
内膜と血流部の境界を計測し、なぞります。
Lumen CSA や Lumen Area と呼ばれます。
Stent 断面積
Stent と血流との境界を計測します。
内径を測る際の小技
外径はわりと分かりやすいと思いますが、内径って意外と難しい。
そんな不満を取り除く機能が IVUS にはついています。
テルモ:シャトルレビュー
⇔なんかこんなマークのやつ。シャトル再生(シャトルレビュー)と呼びます。
これで境界がわかりやすくなります。
ボストン:Dynamic Review
Dynamic Reviewです。これは昔からある機能ですね。
実際の計測風景
ワイヤーシャドウ部分は正確な計測はできません。
連続性を想像して計測するようにしましょう。
いわゆる血管の三層構造って
そもそも三層構造ってのはわかりやすく説明したら…ということを理解しましょう。
前述の薄層構造のことを考慮すれば三層でないといえます。
くわえて臨床において IVUS 画像は完全に正常な血管をみることはほとんどないでしょう、大概、plaque が存在しています。
plaque は中膜から内膜に向けて連続性を持って成長していく(場合もある?)といわれていますし、中膜に石灰化が至っている病理画像を拝見したことがあります。
その場合、内膜と中膜の概念も曖昧になってしまいます。
ですので、三層って言い切るのは正しくないですかね。
参考文献
(SSLではないサイトです。)
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