心臓カテーテルの基礎 生化学 心筋梗塞マーカー の覚え方 心筋逸脱酵素

ME2種

本日はME2種試験も近いということで生化学( 心筋梗塞のマーカー )についてです。

国家試験にもトロポニンの話がでてくるなど、心臓カテーテルにてよく使用されるバイオマーカーは覚えておく必要があるでしょう。

学生必見の覚え方も掲載しました。

心筋(梗塞)マーカーの覚え方

指標とされる心筋マーカーの一覧です。

心筋逸脱酵素血中濃度上昇時間基準値*
ミオグロビン(Mb)0.5〜3時間70-100ng/ml
H-FABP1〜2時間6.2ng/ml 未満
トロポニンT3〜6時間0.10ng/ml 以下
CK(CK-MB)4〜6時間CK:男性30~190IU/l,女性20~150IU/l
CK-MB:測定法により異なる
AST(GOT)6〜8時間13~33U/l
LDH6〜10時間101~193IU/l(測定法により異なる)
 sysmexの値を記載しております。:https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/index.cgi
横軸がdaysってのに注意してください。臨床検査のガイドライン2015より画像引用:https://www.jslm.org/books/guideline/index.html

これらを覚えるのに超有名なゴロ合わせが

見張っとく気ある?

というものです。

見(ミオグロビン)

張っ(H-FABP)

と(トロポニン)

く気(CK)

あ(AST)

る(LDH)

正直めっちゃ覚えづらい。

個人的には、ミオグロビン、ハーフタイムで大トロ食べてコーナキックでアシスト決めるんだはぁ!で覚えてます。心筋梗塞発症から値の上昇する順番が分かれば問題ないので好きに覚えたらいいとおもいます。

H-FABPのところは白血球に置き換えられている場合もあります。

白血球もだいたい1時間ぐらいで血中濃度が上昇するので、置き換えられています。

臨床では、生化採血時に絶対に検査されるのでオーダ時の簡便さから重宝されます。

ただご存知の通り、感染なんかでも、白血球は上昇するのでなんとなくわかる程度ですね。

心筋梗塞のマーカーは2種類ある

心筋梗塞のマーカーとは心筋梗塞や狭心症を判別するための、生化学的(採血データ)な検査で指標となる物質のことです。

心筋マーカー発症の時期により上昇する物質の順番が異なり、その順番を覚えることが必要とされ、試験に頻出します。

大きく蛋白酵素の2つに分かれます。

タンパク質

一方よく耳にするタンパク質です。

これらは、筋細胞や細胞質に存在しているタンパク質が、心筋になんらかの傷害を受けた際に流出されるため、流出場所によりタンパク質の種類が異なります。

タンパク質なので、単位はng/ml

代表的なものでトロポニンT(TnT)、I(TnI),H-FABPが挙げられます。

見てわかると思いますが、傷害がおきたとき、タンパク質のほうが酵素より先に血中に流出しています。

ミオグロビン

筋肉細胞内に含まれるヘムタンパク質

筋肉細胞内であるが故に過剰な運動などのあとや、心外のオペ後でも上がる。

臨床的に、第一選択として使用されているケースは少ない。

筋肉が赤いのはこれのせい。OPE後CHDFをしたりすると、廃液赤くなるのはこの影響のときもある。

溶血に伴う遊離ヘモグロビンって場合もある。

H-FABP(えっちえふえーびーぴー)

心臓型脂肪酸結合タンパクのこと。遊離脂肪酸の細胞内輸送に関与する低分子可溶性蛋白*。

特異性がとても高い!ラピチェックと呼ばれる迅速診断キットがあり発症後2時間以内の急性期でも診断可能。

血中濃度と梗塞量が相関することから梗塞量の推定,再灌流によるwash-out現象による急激な上昇・低下による再灌流療法の成否の判定指標としても検査される**。

腎機能障害例や骨格筋障害でもH-FABP は上昇し偽陽性を示すことがある。*

トロポニン

筋トロポニンは筋原線維の収縮調節タンパクの一つであり,心筋梗塞発症後3 ~6 時間で上昇し,約2 週間は検出可能なため,発症後数日経て入院した例であっても急性心筋梗塞の診断が可能である。*

筋トロポニンは、トロポニンT、トロポニンI、トロポニンCで複合体。

トロポニンCは心筋と骨格筋のアイソフォーム(立体構造)が同じ。

トロポニンTとトロポニンIはアイソフォームがトロポニンCと異なるため心筋逸脱酵素としてマーカーに使用できる。***

最近は高感度なトロポニン検査もでてきており、2時間以内の急性期でも診断可能となっている。

日循のガイドラインでは、

心筋トロポニンが測定できる条件下では,ACS の診断にCK-MB やミオグロビンは推奨されない

急性冠症候群ガイドライン:https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2018_kimura.pdf

とされていますし、

トロポニンの測定はクラスI、Cに分類されていますので、臨床ではこれが第一選択です。

トロポニンT

発症1週間ほどの心筋梗塞ではトロポニンIと比べ、トロポニンTの方が高感度であると言われている。溶血の影響を受ける。***

日本ではだいたいトロポニンTを使用してます。

トロポニンI

超急性期ではトロポニンIの方が高感度という報告があります。溶血の影響を受けにくい。***

欧米ではトロポニンIを使用してます。理由は不明です、だれか教えてください。大人の事情?

心筋ミオシン軽鎖I

心筋の筋原繊維を構成する筋収縮タンパク。

ピーク値が梗塞サイズに依存するという特徴があります。

30ng/mL以上では広範囲の梗塞を示唆し予後不良とされる。*

よくある心筋マーカーのゴロには入っていないけど、覚えていて損はないマーカーです。テストにはでないかも。

心筋逸脱酵素

難しい言葉ですがよく用いられる言葉です。

心筋(が狭心症や、心筋梗塞などにより虚血にさらされたとき、心筋のダメージに伴い)

逸脱(してくる)酵素

酵素なので、単位はU/l

代表的なものでCK、CK-MB、AST(GOT)、LDHがあげられます。

酵素は、タンパク質より遅く血中に出てきていますね。

CK、CK-MB

CKは筋細胞に多く含まれる酵素です。MM(骨格筋型)、BB(脳型)、MB(心筋型)という3つのアイソザム(同一の反応を触媒する分子構造の異なる酵素群)があります。****

CK-MBは心筋の特異性が高いため、よく指標に用いられます。

ただ、骨格筋にも含まれるため、横紋筋融解症などでも上昇します。

CKは、過度な筋トレでも上昇する。

AST

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ:AST

肝細胞。心筋、骨格筋に多く存在する酵素。傷害時に血中へ流出する。

心筋梗塞のときは、ASTのみが大きく上昇し、ALTはそれほど上がらない。

LDH

血清乳酸脱水素酵素:LDH

乳酸という名前からわかる通りブドウ糖がエネルギーに変化するときに働く、血清中の酵素。

大きな臓器での傷害で値が大きく上昇する。

まとめ

  • 心筋マーカーは、酵素と蛋白(ぶっちゃけほとんどの検査はこの2つですが)
  • 覚え方はで有名なのは、「見張っとく気ある?」、個人的には「ミオグロビン、ハーフタイムに大トロ食べて、コーナキックでアシスト決めるんだはぁ!」
  • タンパク質より酵素の方が血中濃度上昇は遅い
  • 心筋梗塞ですか?ってのを知るためにトロポニンを用いることが当たり前。梗塞の度合いを調べるのに、他のマーカーを使用しているという面もある。
  • 臨床でよく耳にするのはトロポニンとCK、CK-MB。
  • 心筋ミオシン軽鎖Iも忘れずに。
  • ME2種で出題されるかわからないけど、とにかく頑張れ。

参考・引用文献

*臨床検査のガイドライン2015https://www.jslm.org/books/guideline/index.html

**sysmex:https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/index.cgi

***CRC:http://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/183.html

****日本救急医学会:https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/1116.html

コメント

  1. デブおじさん より:

    初めてコメントさせていただきます!
    いつも臨床に直結する内容ありがとうございます。
    漠然としてますが、IABPについてご教示いただければ幸いです。

    これからも頑張ってください!!

  2. CE より:

    コメントありがとうございます。
    わかりました、今後IABPの駆動方式、世代について解説したいとおもいます。

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