IVUS の基礎。原理。機械走査式と電子走査式。

虚血
この記事を書いた人

2014年卒
虚血
不整脈
人工心肺
透析
呼吸器
機器管理に携わってきました。
専門は災害対策です。

↓各SNSフォローお願いします。(HomeアイコンはTikTok)

※Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。

CE lifehackをフォローする

こちらでイメージングモダリティについて触れていますが、今回は IVUS を掘り下げます。

スポンサーリンク

IVUS とは

IVUS は、血管に超音波振動子を挿入し、血管の内側から病変性状や血管性状をエコー検査する機械です。

IVUS の 原理

対象物へ超音波を発振し、跳ね返ってきた超音波をトランスデューサで受信し、その強弱を電気信号へ変換し、強度の違いを白黒の濃淡で画像として再構築しています。

具体的には、

超音波の跳ね返りが強いものほど白くなるようにできています。

逆に全然跳ね返ってこないものは黒です。

IVUS
↑Safariだと正常に表示されないことがあります。

イメージはこんな感じです。血液は実際には色々混じってるのでもう少し白く見えますが、遠くに行くに連れてエコーが減衰しますので、跳ね返って来ないと認識され黒くなっていきます。

360度方向すべてにエコーをあて、跳ね返ってきた画像が全部おなじであれば以下のような画像に再構築されます。

IVUS

こんな感じです。

エコーの反射

重要なのは中学校でならった光の屈折の話です。

光と音は波特有の性質が同様にあります。(小野測器様HP:https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/nakaniwa/keisoku/wave_refraction.htm)

IVUS

要するに、中学校でよく見たこれが成り立つということです。

そして注目していただきたいのは、物質の境界面で屈折(反射)が起こる。

これはIVUS上でも同じことが起こっています。

そのため、物質の境界面以外は原理的にはエコーの反射は起こらないため、黒くなります。

先の画像は血管と一括にしていますが、実際には3層構造(厳密には3層じゃない)の境界面ごとに濃淡が変わっています。

なんで血管外はコントラストが明るいのか

ここまで聞いて理解できた方は、

血管外と血管外組織の境界面以降は黒くなるんじゃないの?

と疑問に思うはずです。

血管外組織が均一な組織ならそれで正解です。

でも実際には、組織は均一ではなく、複雑に折り重なっているので、その境界ごとに反射され、白く見えます。

実際に水、模擬血管、水とOFDI(IVUSでみた画像どっかいきました、すみません)で見た図(もう一枚が冠動脈IVUS画像)がこちら。

模擬血管はシリコンチューブなので、中身が均一です。なので境界面以外は黒いです。

これが、IVUSやOFDIの理解を複雑にしてしまう部分ですね。

IVUS の 種類

電子走査式

世の中でPHILIPS社(旧Volcano)のIVUSのみがこの形式の構造をしています。

この構造では、カテーテルを中心として全周に合計64個のトランスデューサを貼り付けています。そこへ流す電気の流れをコントロールして画像化する方向を決めています。

カテーテルに搭載されたトランスデューサが動くことはありません。電流を流すトランスデューサを変化させ、電気信号から画像の構築を行う(走査)ために、こう呼ばれます。

IVUS

図の用に周りながら音波を出してるという人もいれば、

IVUS

この図のように一度にだしてるという人もいます。先日PHILIPSさんにきいたらこっちだと言っていましたが、定かではないです。

VOLCANO
Visions PV0.14 画像引用:https://www.philips.co.jp/healthcare/product/HCIGTD85910P/visions-pv-014p-ivus#galleryTab=PI

メリット

  • 大径の血管や、血管周囲まで視認できる。(20MHzのため)
  • スタック(血管内などでカテが抜けなくなる)することがほとんどない。(カテが太いため)
  • セットアップが簡便。(エアー抜きの必要がない)
  • ワイヤーが画像の邪魔にならない。
  • (IVUS Knuckleという手技に使用できる)

デメリット

  • 通過性が悪い(太いため)
  • 空間分解能が低く、画像解像度が低い(20MHzのため)
  • Ring Downが強く、カテの近くがきれいに描出できない(構造上仕方ない)
バルサルバくん
バルサルバくん

Ring Downとはトランスデューサの発振時の震えによるノイズのことです。

トランスデューサに近ければ近いほど発生するため、電子走査式では、Ring Downを除去すように画像を処理するボタンが搭載されています。

機械走査式

こちらが今スタンダードなIVUSの方式です。

電子走査に対し、トランスデューサは一つのみです。

このトランスデューサを機械的にカテーテル内で回転させることにより画像化しています。

IVUS
Opticross
Opticross 画像引用:https://www.bostonscientific.com/jp-JP/products/ultrasound-imaging-system/OptiCross.html

メリット

  • 通過性が良い(トランスデューサが一つなので、カテが細い)
  • 空間分解能が比較的高く、画像解像度が高い(40〜60MHzのため)
  • 自動プルバック機能がある。(上記Opticrossの図を見るとわかりますが、中だけ機械的に引いてくることができます。)

デメリット

  • セットアップが手間(エアー抜きする必要がある。)
  • スタックすることがある(通過性とトレードオフ)。
  • ワイヤーが画像上に写り込んでしまう。
IVUS
ワイヤーシャドウ

主流はどっちなのか?

虚血領域では、基本的に機械操作式です。

どっちの方式なの?と気にする必要も全くありません。

臨床で覚えるべきポイント

  • セットアップの仕方
  • 計測の仕方
  • 病変性状の判別

このあたりを覚えれば大丈夫です。また掘り下げます。

IVUS のことはこの本読んでおけば間違いないです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました