IVUS で読み取る Myocardial Bridge (Squeezing)

虚血

IVUS の基礎っぽいところをすっ飛ばしていきなりコアな話です。

Myocardial Bridge とは

冠動脈の主要な3枝は、心臓(心筋)の表面を走行しています。(といっても、心臓周囲脂肪に覆われています。)

ところが、血管の一部が、心筋組織に覆われてしまう場合があります。

その組織のことを心筋架橋(Myocardial Bridge)と呼びます。

これは一見すると心筋内を走行しているように思われるので、心筋内走行やトンネル冠動脈といわれたりします。実際には深さによって呼び方が変わるようで、図を確認してください。

LADに多く(70〜98%)、解剖学的には、日本人の45〜58%にこのMyocardial Bridgeがあると言われています。

ちなみに冠動脈造影的には、0.4〜5.4%と言われています。

画像引用:https://www.jacc.org/doi/full/10.1016/j.jacc.2016.09.973

Myocardial Bridge の 造影画像

この造影のようにLADの一部が収縮期において高度狭窄を呈しています。

これをSqueezing(すくいーじんぐ)や、Milking Effect(みるきんぐえふぇくと、みるきんぐ)といいます。

Squeezingはかなり前に流行ったスクイーズと一緒です。

あのニギニギするやつです。

冠動脈をニギっとしてるようにみえるからすくいーじんぐ

ミルキングは胸腔ドレーンチューブを絞る作業のことをいい(ミルキング | 看護師の用語辞典 | 看護roo![カンゴルー]:https://www.kango-roo.com/word/5172)。

牛の乳(Milk)しぼりが由来です。

ドレーンのミルキング

Myocardial Bridge の 影響

血管径の変化

通常冠動脈の血管径は収縮期、拡張期で顕著な変化はないと言われています。

ところが、Myocardial Bridgeがあると心臓の収縮期に合わせて血管も収縮してしまいます。

心筋への血流阻害

冠動脈血流は拡張期に最大となるためMyocardial Bridgeの影響はさほど大きくないと言われていますが、Myocardial Bridgeの範囲がLAD全域に及ぶ場合や、Myocardial Bridgeの分厚さ(冠動脈の深さ)によっては顕著に狭心症状を訴える患者様もいます。

また、流体力学的影響も存在します。この狭窄が中隔枝を跨ぐように存在した場合。

Branch Stealともよばれ、狭窄にともない流体のベンチュリー効果から中隔枝への血流を盗むようにLAD側に血流が流れてしまうことから、中隔の虚血を呈することがあります。

Branch steal

ベンチュリーネブライザーと同じ効果です。

不整脈や冠攣縮との合併

またごく稀に、不整脈や冠攣縮症候群と合併することで重篤な心筋虚血を呈する症例も報告されています。

治療適応

基本的にカテーテルでの治療適応はありません。

症状が改善されない場合は、心筋切開術が選択されます。

IVUS での見え方

本題です。

ではIVUSではどう見えるのか。

動画でおみせしますが、黒く低輝度な筋の様に見えているのがMyocardial Bridgeと言われています。

高輝度帯状構造物(Peri Medial High Echoic Band:PHB)

PHB(ぴーえっちびー)と呼ばれる高輝度な帯状の構造物が血管内側にIVUS上確認できることがあります。

病理的には内弾性板が折りたたまれている状態などと言われています。

これは、血管が本来の血管の大きさより小さいときに散見されると言われています。

Myocardial Bridgeと共存し観察されることがあります。

PHB

臨床上の対応

Myocardial Bridge の場合

基本的に単体では、治療の適応はありませんが、狭窄を合併したり、病変付近にMyocaldial Bridgeが存在する場合があります。

経験的には、なるべくかからないようにするか、逆にしっかりとカバーするようにStentを留置することが多いです。

調べた限りでは、それによってどのような影響があるのか、成績をだした論文は見つかりませんでした。あったら教えてください。

PHB の場合

こちらを単独で認める場合は、その部分より手前に狭窄があり、血流が少ないときに多く経験します

CTO部分の遠位部にこれを認めた場合、慢性期に内径の拡大(Chronic vessel enlargement :CVE)を認めると言われています。

本来の血管より過小評価されますので、Stentを留置してしまうと、CVEがおこった場合Stentが本来の血管より小さく留置されている状態になるので、予後が悪いことが想像できます。

そのため、責任狭窄部のみStentingし慢性期に血管が拡がるのを待つという選択もしばしばとられます。(これの長期成績をだしたものもない?)

参考文献

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