超簡単な IABP の管理法。拡張タイミングの設定など。ICUの若いCEや看護師さん向け

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IABPとは

IABP とは大動脈バルーンパンピング(Intra Aortic Balloon Pumping)のことを言います。

30〜40ml程度の容量を持った風船を大動脈内で心臓の拍出に同期して、拡張、収縮を繰り返すし圧補助を行う機械です。(画像引用:https://www.tokaimedpro.co.jp/products/iabp/about.html)

IABPの適応

明記されている適応はありません!あくまでも、病院のルールや、医師の判断によります。

よく臨床で使用される場面は

  • 心原性ショック
  • PCI時やPCI後の冠動脈血流遅延像(slow flow)や血流なし(no reflow)現象
  • 左主幹部病変や、多枝冠動脈病変(multivessel coronary artery disease:MVD)のPCI
  • 心臓外科手術後ポンプ離脱困難症例
  • V-A ECMOとの併用
  • 心室中隔穿孔(ventricular septal perforation:VSP) etc…

IABPの禁忌

絶対的禁忌は明記されています。

  • 重症大動脈弁閉鎖不全症(Severe AR)
  • 胸部または腹部大動脈解離、胸部または腹部大動脈瘤

これはIABPの原理と病態を理解していれば当たり前です。

ARは大動脈弁の閉鎖がうまくできません。

そして、大動脈側の圧が大動脈だけではなく、左室側にかかってきてしまうのがその病態です。

一方IABPは大動脈弁がしっかりしまっているのを前提で風船をふくらませ大動脈の圧をあげます。

つまりARだと、その圧がより左室にかかってしまいます。IABPが逆に病気を増悪させてしまうので禁忌というわけです。

解離、瘤はそもそも血圧が高いからできてしまいます。治療法は人工血管置換か、血圧の降圧による対処療法です。そんな血管に対して風船で圧をかけたら増悪するに決まっています。

相対的禁忌もあります。名前は難しいですが、使おうとしても使えないって話が多いです。

  • 下行大動脈-大腿動脈までの間での高度屈曲
  • 腸骨-大腿動脈までの間の高度狭窄

高度な屈曲や狭窄があると、そもそもIABPを血管内に挿入できないことや、入っても満足に膨らますことができないです。無理に膨らまそうとすると大動脈解離を引き起こすことがあります。また屈曲を引き伸ばすことによるアコーディオン現象や、狭窄部の圧排による下流の血流途絶が挙げられます。そりゃ使えませんよね。

これらは全部添付文書に書いてあります

IABPの覚えるべき二つの効果

1:ダイアストリック・オーグメンテーション(diastolic augmentation)

ダイアストリック=拡張期

オーグメンテーション=(風船を)拡張

直訳通りです、心臓の拡張期に、風船を拡張することで、末梢への血流を減少させ、重要臓器(脳と心臓)への血流を増やす。

結果として心筋の酸素供給量 拡張期血圧 平均動脈血圧上昇の効果が期待できる。

2:シストリック・アンローディング(systolic unloding)

シストリック=収縮期

アンローディング=負荷をさげる

心臓の収縮期に、風船を収縮させることによって風船の容量分血流を引き込むことができるので心臓が楽に血液を拍出できる=後負荷の軽減が可能。実はこれアルキメデスの原理の応用です(誰かがいっているわけでなく、勝手にそう思っています)。

R波デフってなに

R波デフという単語を見かけると思います。

R波を検知したらデフレーション(圧力を下げる、バルーンを収縮させる)

というものです。

心電図上R波以降は必ず収縮期ですので、この状態でバルーンが拡がっていては、後負荷を軽減するどころが増強していまいます。

なので、PVCやNSVTといった不整脈が散発する場合に設定することがあります。

国家試験的には

国家試験的には

・冠動脈血流の増加
・平均動脈圧の上昇
・後負荷の軽減
・心仕事量の軽減
・心筋酸素消費量の減少

IABPのタイミングの合わせ方

こんな教科書的なことを覚えても操作なんか一つもできないのが臨床です。

IABPにとって重要なのはタイミングです。

これの簡単などんなメーカーでも使える合わせ方をご紹介します。

結論から血圧波形をみて1:2でアシストをし合わせる。

教科書的には

拡張は心臓拡張初期。

収縮は心臓の駆出直前

いままでの原理を理解すれば当たり前ですね。

実際の画像を見て拡張期の合わせ方を説明します(CS100です)。

拡張期の合わせ方

ちなみに、1:2のタイミングとは自己心拍2回にたいして、IABPが1回拡張するということです。

赤丸がdicrotic notchと呼ばれる弁が閉じたタイミングの目印です。ここに拡張をあわせます。と、よく書いてありますが、それがあってるかどうかわからないですよね。

それを見極めるには水色丸に注目します。タイミングがあってるときはこの値が最高値になります。

ですのでこの水色丸(オーグメンテーション圧といいます)の波形の値が最大になるように拡張タイミングを動かせばおしまいです。

収縮期の合わせ方

続いて風船の収縮期は心臓の収縮直前とされていますが、波形の立ち上がりに狙いをさだめても、あっているかどうかわかりません。

今度は白丸に注目です。この白丸が自己のみの波形より低ければタイミングがあっています。一番低くなるように収縮タイミングを合わせればおしまいです。

IABPのコツ

  • トリガーは心電図トリガーがおすすめ。血圧が低い人に使用されますので、脈圧差でトリガーする圧トリガーはうまくトリガーできないことがあります。一方、心室期外収縮や、心房細動が多発する場合は、難しいですが、圧トリガーが良い場合もあります。また、清拭の際は圧トリガーが良いことがあります。
  • 離脱ができるかどうかは、オグ圧と自己収縮圧でわかります。心機能が回復してくるとだんだん同じ値に近づきます。(経験的に)

まとめ

  • 適応は明記されていないけど、禁忌は明記されている。
  • 覚えるべき効果は2つ。
  • タイミングは血圧波形をみて、1:2のアシストできめる。
  • トリガーは基本心電図、場合によってい圧トリガー
  • IABPの臨床の話はまだまだあるので次回以降にまた書きます。

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