順番前後しておりますが、 心臓カテーテル の⑧です。AHAの分類を覚えておくとわかりやすいです。
カテ室で驚いたこと
カテ室で働くようになって驚いたことの上位に挙げられるのが、
造影されてから対象病変がどこにあるのか理解するまで、あまりに早すぎる。
ということです。なんならわからないまま治療が終わってしまうこともあると思います。
先輩方との違い
では、先輩方と新人ではどこが違うのでしょうか。
皆さんはリンゴをみてリンゴだと理解するまで、どれくらい時間がかかるでしょうか。おそらく1秒もかかりません。
では、なぜ我々はリンゴをリンゴであると判断できるのでしょうか。
答えは、リンゴの特徴をよく理解できている。ということ、リンゴを何度もみたことがある。ということです。
つまり、先輩方は冠動脈をよく理解しているし、何度もみているから我々がリンゴをリンゴと判断する程度の時間でそれが冠動脈の#?なのか理解できるのです
透視画像の特徴
よく言われることですが、透視画像は影絵です。モノに光をあてて映し出されたものを私達はみています。これに関してはこちらを参照にしてください。
立体感がつかめないことが、冠動脈理解の弊害となっています。
これはなんでしょう
これはなんでしょう。リンゴの話をしてきたので、リンゴかと思いきや梨です。
リンゴはこちらです。
多分世界中のどんなにすごい循環器内科医でも、初見ではすぐにわからないと思います。
リンゴは蜜が特徴的です。そのように考えると、二枚目の画像は中心部が白く抜けています。このことからもしかしたらリンゴかもしれないと予測することはできます。
どちらにせよ、冠動脈を見分けるよりかなり時間を要すると思います。
リンゴと冠動脈の違い
では、なぜ冠動脈だとわかるのでしょうか。
まず、このように比較をしてみます。
これに対して、「どちらがリンゴですか?」と聞かれたら右の方が、形がなんとなくリンゴっぽいという情報と、左の形がなんとなくリンゴっぽくないという情報が一度に2つ入るわけです。
冠動脈でも同じです。左の冠動脈造影をみて、大きな2本のうちどちらの枝がLADですか?と聞かれたらこっちだなとわかりますし、それが本当にLADなのかどうかを、AHAの分類における冠動脈の形と脳内で比較して考えています。加えて、解剖学的な走行も理解していますので、より判別が容易に行えます。
今回のリンゴと冠動脈を比べると、前例となる比較対象の欠如が明確な違いの一つです。
冠動脈を見分けるコツ
リンゴなんてどうでもいいんじゃという方にむけてコツを紹介します。
一回覚えてしまえば簡単ですし、AHAの分類の記事でお話したとおり完璧に見分ける必要はない。
という点から、LADなのかLCXなのかさえわかればなんとかなるということを前提に説明していきます。
左冠動脈
冠動脈を見分けるにアタリ、困るのは断然、左冠動脈です。
RAOかLAOかで判断する方法
RAO側(RCRA,RAO,RCRAなど)からみている場合は、画面左側にある枝がLCX、右側がLAD
わかりやすいRCau画像と実践向けな分かりづらいRCra画像をご用意しましたが、一枚目はもうそのとおり、左方向に伸びてる枝がLCX、右方向に伸びてる枝がLADです。
2枚めは左上のLMT部分をよーくみるとクシャっとなったLCXが左方向にも枝を出しているがわかります。
LAO側(LCRA,LAO,LCRAなど)からみている場合は、画面左側にある枝がLAD、画面右側がLCX。
こちらはLCra画像と、LCau画像(スパイダー)ですが、これは簡単ですね。左にあるのがLAD。右にでていくのがLCXです。LCraだとLCXなの?D1なの?となりますが、一番外側がLCXです。
CranialかCaudalかで判断する方法
こちらも、簡単な説明になりますが、
Cranial系でみているときは、LADが見やすい。
先程のRCraとLCraの画像です。LADが見やすいですね。
Caudal系でみているときは、LCXが見やすい。
こちらは先程のRCauとLCauです。LCXが見やすいですね。
ということで、角度をしっていれば今どの血管が中心に映されているのかが、予測できます。
右冠動脈
さて、右冠動脈は一本の太い枝しかないので簡単です。
多分こまるポイントは4AVなのか、4PDなのかというところだと思います。
上にいってる枝がだいたい4AV
わかりやすいLL(真左側)からみた画像とRAOからみた画像です。上にあるのが4AVですね。
Caudal系でとると上にないことがあるのですが、CTOのcollateralを見る時くらいしか取る機会はないと思いますので省略です。
まとめ
- 冠動脈を造影1秒で把握できないとやっていけない
- 透視は影絵
- リンゴは透視上では、冠動脈より難しい
- 冠動脈は角度と、基本となる走行を覚えておけば簡単にわかる。
- ここで、あげた角度と冠動脈造影画像をリンクさせて覚えて脳内参照しよう。
我々臨床工学技士や、放射線技師さんは、人それぞれ違う冠動脈走行をどの角度でみれば見やすいかということを瞬時に判断し適切な角度に振り分けます。ルーチンビューでは対応できないところに技の見せ所があります。そんな話も今後していきます。
フレーミングをしている臨床工学技士は一般的に珍しい部類かもしれないバル。
もちろん、フレーミングのみで放射線を照射するのは、ドクターか放射線技師さんです。
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