心臓カテーテル の基礎⑦大腿動脈穿刺の注意点-コメディカルが注意すること-

虚血

心臓カテーテル の基礎⑦です。前回穿刺部位の話でしたので、重要な大腿動脈穿刺の話をします。

一見、実際に穿刺するドクターにしか関係無いようで、コメディカルにとって非常に大切な話です。

穿刺部位の話は前回を見てください。

大腿動脈の解剖

そもそも穿刺するにあたり、解剖を知らないとどこを指しているのかわかりません。そこで簡単に、大腿動脈領域の解剖を説明します。

  1. 総腸骨動脈(Common Iliac Artery:CIA)
  2. 外腸骨動脈(External Iliac Artery:EIA)
  3. 内腸骨動脈(Internal Iliac Artery:IIA)
  4. 総大腿動脈(Common Femoral Artery:CFA)

4の総大腿動脈を穿刺します。

2と4は同じ血管のように見えますが、場所によって名称が変わります。

上の赤丸(上前腸骨棘)と下の赤丸(恥骨結合)を結んだ、白い破線で表した、鼠径靭帯(そけいじんたい)を目安に分けられています。

これより上は腹腔となり腸があるため腸骨動脈。下は体表近くに血管がでてきており太腿を栄養するので大腿動脈

ちなみに、総大腿動脈は、大腿動脈(循環器領域では浅大腿動脈という)と深大腿動脈に分かれます。

鼠径靭帯は、鼠径溝(そけいこう)と呼ばれるシワとほぼ同じ場所を通ると言われますが、臨床的には異なることがあり、特に肥満体型の方や高齢者はこのシワがずれていることが多いです。

https://kotobank.jp/word/鼠径溝-1356414

そこで、心臓カテーテル において大腿動脈穿刺の際は、必ず透視下に確認をします。

穿刺場所

さて解剖を踏まえて、実際に穿刺場所はどこかというと、

鼠径靭帯より1cm下側が血管刺入点になるように、皮膚刺入点は2-3cm下側の場所が目安

つまり、解剖をしっていればドクターが今まさに穿刺しようとしている場所が確からしいかどうか、触れていなくても画面上でわかるわけです

心臓カテーテル

上のCT画像とは反対側の透視画像で申し訳無いですが、透視でみると実際に大腿動脈を触れていなくても、どこを刺すべきかわかりますね。

そして、鼠径靭帯はおおよそ、大腿骨頭の上縁くらいにきていることがわかります。

なので穿刺の際は骨頭を参考にするのも良いでしょう。

臨床のコツ

穿刺は治療の要です。

なぜなら、血腫ができてしまい、血行動態が破綻する。痛みにて患者動態が破綻する。血腫の圧迫止血に人手が取られる。穿刺部だけの血腫でここまで至るケースはほとんどありませんが、最悪の場合死に至ることも考えられます。

では、防ぐためにはどうすれば良いでしょうか。

  • 穿刺部をしっかりと確認する。
  • 穿刺位置が悪い場合は、シースを入れる前に刺し直してもらうこと。
  • 術中も穿刺部位の腫れが無いか定期的に確認すること。
  • 穿刺位置が良くてもその後wireをしっかりと透視で確認して進めてもらうこと。

最後のwireは非常に重要です。穿刺位置がよくてもwireが腸骨回旋動脈といった枝に迷入した場合、後腹膜血腫を引き起こすことがあります。

これは、刺入部の血腫とは違い、視覚的に血腫の形成がわからないため血行動態が維持できなくなってから気付くことが多いです。

まとめ

  • 解剖は大切。鼠径靭帯を覚えよう。
  • 穿刺位置は鼠径靭帯の2-3cm下。
  • 術中も定期的に穿刺部の腫れを確認しよう。
  • wireは必ず透視をみて進めてもらおう。

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