IVUS の続編です。前回原理のお話をしたので、今回は得られる画像の話です。
IVUS で得られる画像
短軸画像
IVUS を語る上で9割型この話しかでてきません。短軸画像です。よく見るIVUS画像とはこのことです。
なぜ短軸と呼ぶか。それは、このIVUS画像は血管という管の短い断面を表した画像だからです。
血管の輪切りです。
分かりづらいので長ネギをイメージします。
ネギを長く切れる方が長軸(白髪ネギ)、短く切れる方が短軸(輪切り)です。
IVUS-短軸画像から得られるモノ
短軸画像から得られるものは下記のモノがあります。
血管径、面積
IVUS ではいわゆる血管の三層を判別することはできないです。
わかるのは、内腔と血管との境目、外弾性板(external elastic membrane;EEM:いーいーえむ)と呼ばれる中膜と外膜の間に存在する低輝度の帯だけです。
先程の画像で見てみると
こんな感じ。内膜はあくまでも内腔との境界に内膜表面があることは確かだけど、内膜がどこまであるかは解像度的にぶっちゃけわからないですよね。
同様に外膜もEEMの外側に外膜があるだろうことはわかるけど、どの程度の厚みかわかりません。
これらの情報から血管径、面積を読み取る必要があります。
病変性状
IVUS でわかるのはどんな性状の病変か?ということのみです。
その性状とは大きくわけると
「硬いのか」「柔らかいのか」「その間くらいか」
この3つです。
IVUS を見たら病変の確定診断ができるなんてことは絶対にありません。
じゃなんで診断ついてるの?と疑問が生まれます。
突然ですが問題です。
動物が3匹います。一番背の高い動物はなんでしょう?
答えはわかりませんよね?
動物の種類は、サル、キリン、ゾウです。
となるとすぐさまキリンとわかります。
そうです、さきほどの答えは「単純な並べ替えクイズに置き換えている」からです。
病変で一番硬いのは石灰化、その次が線維性プラーク(fibrous plaque)、その次が脂質性プラーク(ripid rich plaque)といったようにもともと選択肢を持った上で IVUS をみているわけです。
だからそれがどんな性状なのかを読み取ることができれば良いわけです。
読み取るべき場所は赤いところ。これはいわゆるfibrous plaque。
読み取り方のコツは、血管外にある白い部分。
この輝度に比べ明るいか暗いかです。
明るければ石灰化、暗ければ脂質性プラーク。同じであれば線維性プラーク。
長軸画像
さてもう一つがこの長軸画像。
短軸画像をめっちゃ重ね合わせて横から見てる像ですね。
先程も言いましたが、ネギでいえば白髪ネギの切り方です。
IVUS-長軸画像から得られるモノ
長軸画像から得られるものは下記のモノがあります。
- 病変長
- 枝の分岐
- 側枝に対する Stent の干渉具合
- wireの通過位置
大前提として、正確な長軸画像はプルバック機能がついている IVUS でしか得ることはできません。
手で引くタイプですと、長さの情報を無視した長軸画像が再構成されます。
病変長
これが長軸画像で一番求められることです。
Stentのサイズを決めるときに重要となります。
枝の分岐
なんとなくどんな角度ででているのかなと、予測できます。
が、あまり重宝されません、Angio画像で十分なことがほとんどだからです。
側枝に対する Stent の干渉具合
枝に対して Stent Strutがどのように干渉しているか。
Stent のリンク部分が被ってしまっているのか、どうかです。
wire の通過位置
大きな側枝を跨ぐ用に Stent を留置した際、側枝をJail(じぇいる)したと言いますが、このJailした際にはwireを通過させKBI(Kissing Balloon Inflation)する場合があります。
このときwireを通過させたバルーンで拡張する場所は、遠位部側で、さらにリンクが無い場所が良いとされています(おそらく3D-OCT studyの論文がそのうちでるのでそちらを読んでください。)
その位置を確認するとき短軸でもわかりますが、長軸だとよりわかりやすいことがあります。
まとめ
- IVUSで確定診断はできない。
- だから怖がらずに IVUS を読もう。
- 短軸も大事だけど、長軸も大事にしよう。
- 計測に関してはまた今度。
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