診断カテーテル の話です。
絶対使う ジャドキンスレフト の話です。
ジャドキンスカテーテルとは
アメリカのドクター、メルビン・ジャドキンス先生が作った、心臓カテーテル史上最高のカテです。
1967年に開発され現在でも使用されていない施設は無いほどです。この操作さえ覚えればまず間違いないです。
ちなみに、ジャドキンス先生は、残念ながら62歳の若さで脳梗塞で亡くなっています。
ジャドキンスレフト ( JL )
ジャドキンス先生が作った左冠動脈用(LCA)カテーテル
サイズ
JL 3.0〜5.0などのサイズがあります。
この数字は一体どこのことを言うのでしょうか。
正解は、こちらです。
カテーテル先端から一番曲がってるところまでの長さです。
画像分かりづらくてすみません。
サイズの使い分け
よく使われるサイズは女性なら JL 3.5、男性なら JL 4.0です。
あと、左手からのアプローチか、右手からのアプローチかにもよります。
左手からだと解剖的に女性でも JL 4.0の方が良い場合があります。
LCA入口部から反対側の大動脈壁までの距離が、この長さであればカテーテルを掛けることができます。
このカケることを engage するといいます。
イメージはこんな感じでかかります。
これを見ると単純に大動脈を横切るように掛かるのではなく、斜めになるようにかかっています。ですから、大動脈の径より大きめのサイズでないとかかりにくいわけです。
そこで4.0cmの JL を使用されることが多いのです。
実は4.0cmでないとかからないということはなく、長い分には引き上げたり、息をすってもらうことでかけることができます。
そこで、3.5cmではなく4.0cmが使用されていますが、経験的に日本人は体格が小さい方が多いので3.5cmがベストだと思います。
JL の操作法
冒頭お話した通り、このカテは史上最高のカテです。その理由はその操作法にあります。
左冠尖 に0.035wireを落とし、カテを持って行きwireを引き抜くだけで7割くらい(体感)は勝手に掛かります。
残りの3割くらいは、通常と異なる起始の仕方をしている場合です。
通常より後ろから起始している場合
カテを反時計回りに回すことでカテ先が後ろに向き、カケることができる場合が多いです。
通常より高い位置から出ている場合
息を吸ってもらったり、カテを引き上げたりすることでカケることができる場合が多いです。
どうしてもかからない場合
カテを変えましょう。
長い時間頑張るのは患者様にとって負担です。被爆や造影剤量も増えます。早めにカテを変更!
ジャドキンスが合わない場合、アンプラッツに変更することが多いです。
臨床のコツ:なぜ操作法を知る必要があるのか?
さて、コメディカル用の記事のくせになぜ操作方法の説明なんだろうと考えた方がいるかと思います。
臨床でのコツはここにあります。
医師が何をしてどういう結果になだているのかを理解することができるかどうか
これが最も大事です。
次に医師が要求してくることを予測できるからです。
例えばカテがかからないときは、ドクターは焦りと苛立ちのために機嫌が悪くなります。
そんなときに周りのスタッフが指示待ちで、言われたものがすぐでてこなかったらどうでしょうか?
カテ室の雰囲気や流れが悪くなり、患者さんにとって不利益を講じるかもしれません。
こういうことを防ぐために、手技を理解し流れを読むことが重要です。
どっちがどのカーブかわすれたら
最初のうちは、セカンドについていて、やることいっぱいでカテの形状がどっちかわからなくなる。
くるくるまとめて置いたせいでどっちかわからなくなるなんてことがあります。
そんなときでも大丈夫です。
大体どんなカテでも手元にこのように記載されています。
記載されていないのは、マイクロカテーテルくらいです。
ちなみに、これは内腔が0.038inch。このカテはそれも記載されてます。
上級者向けのコツ・小技
稀に、カテを交換してもどうしてもかからないときや、呼吸ですぐに外れてしまうことを経験します。
こういった場合の教科書には載せられない小技が存在します(載ってたらごめんなさい)。
それは、シリンジのチップを使ってカテを直接シェイピングする方法です。
カテがそもそもかからない場合
例えば画像のようにセカンドカーブをより大きめのカーブになるようにすれば4.0が5.0くらいになります。
カテ先は近いけどかからない、座りが悪いとき
近い場合や座りが悪い場合(カテがかかってはいるけどしっかりかからず浮いている状態)はチップの向きが影響している場合があります。
チップが後ろを向くようにシェイピングすれば、後よりに開口している場合engageしやすくなります。
入口部が上向きにでており、角度がある場合などはチップの方向は変えずにファーストカーブをきつくします。
注意点
シェイピングをうまくやらないと内腔が潰れたりカテが伸びる。
押しつぶすというより、チップに添わせて変形させるというイメージで行います。
かなり曲げ辛いですが、0.035wireを中に入れたまま曲げれば内腔は潰れません。
体内に入るとちょっとの曲げはすぐ伸びてしまう。
これが問題です、強くやりすぎると内腔が潰れますが、曲げが弱いとすぐもとに戻ります。
体外でやりすぎなくらいまげるとちょうど良いくらいになります。
3Dを意識すると良い感じになる
こんな感じでチップを後ろに向け、JL4.0を4.5くらいにシェイピングしたカテです。
今回紹介したコツは、熟練度と、解剖理解、透視画像の理解ができていないとできない方法です。
実践ではかなり難しいですが、ここぞというときに使えるように、日頃の診断カテーテルのときからそういった部分に注目して望みましょう。
まとめ
- ジャドキンス先生は、本当にすごい
- カテの操作方法まで理解しよう
- 先読みをしよう
- 教科書に載せられない技ってのは臨床ではいっぱいある
- JR、ALについてはまた次回。
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