本日は前回の記事
に書いたとおり、 カプランマイヤー について書いていきます。
カプランマイヤー曲線とは
カプランマイヤー 曲線とはなんぞ!
結論から言うと、生存時間解析をグラフにしたものです。
生存時間解析
統計と言われてパッと思い浮かぶのが正規分布。
ご存知の通り、医療界では5年生存率といったデータの対象が時間です。
いわゆる正規分布を過程とした、統計手法は適切でないことが多いとされます。
例えば、研究終了時点の患者様で、効果が“あった”、“なかった”を判断するとその時のみでの判断になってしまいます。
治療、介入を行った期間で比較検討をしなければ正確ではないわけです。
また患者ごとに治療や介入の開始時間がことなるためこれらを揃えて生存時間の解析を行う必要があります。
つまり結果だけでなく過程も大切ってのがカプランマイヤーさん。
イベント
生存時間解析においては生存率イベントを死亡や再発とすることが多いです。
打ち切り
加えて、打ち切りという概念があります。これは、
・自分の病院以外へ転院した(追跡できなくなった) ・患者様が途中で嫌になってしまって辞退を申し出た
などがあります。
打ち切りを無視してしまうと、結果が大きく変わってしまうことがあるため、これを考慮し打ち切りを含んだ解析が行えるのが生存時間解析の強みです。
カプランマイヤーの形
階段状と言われるようにカクカク右下がりのグラフになります。このカクカクはn数(対象件数)が多ければ多いほどカクカクしなくなるので、n数の多い少ないがひと目でわかりますね。
実際のカプランマイヤー曲線
実際の カプランマイヤー 曲線がこちら、医学論文を読むと必ずと言っていいほど見るグラフですね。
ここで線が下に落ちている部分がイベント発生(死亡や、再発。このグラフでは再発)
打ち切りがちょこんとでているヒゲです。
打ち切りが多いほどデータは正確ではないことが多いです。
ちなみに、米国の内科学会の発行しているACP Journal Clubでは追跡率80%以上がよいデータとしているらしい。
EZRのインストール
さて、このカプランマイヤー曲線ですが、自分で作ろうと思ってもなかなか難しいわけです。
しかし、自治医科大学様がGUIで簡単にRを使えるRコマンダーのプラグインであるEZRを開発してくださいました。
こちらを参考にすすめて行きます。
1:Rのインストール
こちらからのダウンロードは最新OS(BigSur)までアップデートしているかたは1番上ので問題ないです。M1のMacは2番めのやつです。
2:X11(XQuartz)をインストール
こちらから
ダウンロードしインストールします。
インストール後必ず再起動してください。これをしてなくてどうやっても起動せず、諦めた次の日急にできました。
3:RにEZRをインストール
3-1:Rを起動します。
install.packages("RcmdrPlugin.EZR", dependencies=TRUE)
こちらを入力します。この際パッケージのソースからインストールを行いますか?と問われたら
n
といれenterをおしましょう
3-2:Rコマンダー(EZRのGUIインターフェイス)を起動します。
library(Rcmdr)
すると図のようにRコマンダーが起動します。ここまできたらもう簡単です。
さてここで、「ツール」→「R.appのためのMac OS Xのapp.napの管理」と開き「オフ(推奨)」を選択してください。これが選択されていないととんでもなく重いです。(今回改めて最新版にインストールしなおしたらデフォルトでオフになってました。)
4:エラーがでてしまう人は
- XQuartzがかなり曲者です。困ったらまずこいつを再インストール
- その後Rの最新版を再インストール
- エラー: package ‘car’ 3.0.6 is loaded, but >= 3.0.8 is required by ‘Rcmdr’ というエラーも上記で治りました。
- Rcmdrないよってエラーになったら以下を打つ
install.packages("Rcmdr", dependencies=TRUE)
EZRの使い方
さて実際の使い方です。まずはじめに
サンプルファイルのダウンロード
本当にいたれりつくせりの自治医科大学様です。用意してくれてあります。
こちらからSurvival.csv(生存解析のためのCSV形式ファイル)をダウンロードしましょう
なんやわからんという人のためにダウンロードにexcel形式の似たようなやつを作っておいておきます。
中身を確認
さてファイルを開くとこんな感じです。
Age | 年齢 |
Sex | 性別 |
Disease | 病名 |
Treatment | 治療内容、介入法 |
OS | イベント(1)か打ち切り(0)か |
DaysToOS | OS(0or1)までの期間 |
PS2.3.4 | ちょっとこれはわからない |
説明するとこうです。Diseaseという群かTreatmentという群でOSまでどれくらいのDaysToOSなのってこと。
実際にカプランマイヤーを描く
なにをいってるかわからないというときは実際にやるのが早いです。
画像の順に記載します。
- ファイルを読み込む。ダウンロードからだとexcel形式なので一番下、CSVなら一番上。
- データセット名の入力になります。なんでもいいです。
- ダウンロードしたsample.xlsxをOpenします。
- ちゃんと読み込めたかデータセットを表示と押すとわかります。
- つづいて「統計解析」タブから、生存曲線の記述と群間の比較(Logrank検定)を選択
- 今回はDiseaseで群間比較にしたので画像の通りに選択する。
- すると画像のように画像が出力される
- この画像は「ファイル」→「別名で保存」でpdf形式でMacのメニューバーから保存できます。てっきりどこかに出力されているものかと思って、これにめちゃくちゃ悩みました。
実際の使い方
実際に1からexcelを作るのは面倒なので、sampleファイルに自分の出したいものを記入していって使うのが楽チンです。我々は統計屋さんではないので深く考えなくても良いと思います。
論文にするときの注意点
論文にするときは必ず
Bone Marrow Transplantation 2013: 48, 452–458
これを参考文献としていれましょう。
まとめ
- カプランマイヤー曲線は生存時間解析をグラフにしたもの。
- 結果だけでなく過程も大事にします。
- イベント、ヒゲ、カクカクでデータがわかる。
- EZR最高!自治医科大学様ありがとうございます。
- EZRうまく起動できなかったらとにかく再インストールを!MacOSも確認!
- 出力画像の保存はMacのメニューバーから。
- 論文にするときは自治医科大学様のことを忘れずに。
参考文献
- 自治医科大学様 https://www.jichi.ac.jp/saitama-sct/SaitamaHP.files/statmed.html
- バイエルンファーマ様 https://pharma-navi.bayer.jp/bayaspirin/imasara/medical-statistics/no5/a1
バイエルンファーマ様のいまさら聞けない医学統計の基本がめちゃくちゃオススメです。
タダなのが不思議なくらいわかりやすいです。バル。
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